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抹茶だけじゃない。日本茶ぜんぶ上がっている

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今年の一番茶(新茶)は、鹿児島県で去年の約2倍、静岡県で約7割高い値段で取引された。農林水産省の資料に、そう書かれている。

抹茶の話だと思われがちだが、値段が動いているのは抹茶の原料だけではない。

抹茶を出していない店も、急須で出すお茶の仕入れ値で、この波を受ける可能性がある。

何が起きているか

農水省が7月にまとめた「茶をめぐる情勢」に、こうある。「令和8年産一番茶は、前年と比較して鹿児島県で約2倍、静岡県で約7割高い価格で取引」。

なぜそうなったのかの説明は、この資料には書かれていなかった(8月30日に確認)。ただ、周辺の数字を並べると、絵は見えてくる。

まず、輸出が伸びている。2025年の緑茶の輸出額は721億円。今年は1月から5月だけで402億円と、去年を上回るペースだ。輸出量は10年で約3倍になった。

そして、その中身。輸出量の約7割、輸出額の約8割が「粉末状の緑茶」だ。つまり抹茶とその原料である。

次に、値段の差。抹茶のもとになる「てん茶」は、せん茶の約4.9倍の値がつく。去年の一番茶で見ると、てん茶は1キロ10,030円、せん茶は2,278円だった。

作る側から見れば、どちらを作るかは分かりやすい。てん茶の生産は増え続け、令和7年は平成26年の約3.2倍になった。国も、てん茶に切り替える農家に資材費を補助している。

一方で、急須で飲むお茶に使う一番茶は減っている。平成20年に40,682トンあったものが、令和7年には25,213トン。4割近く減った。

ただし、去年の一番茶が1割減ったことについて、農水省は静岡県の4月から5月の低温を理由に挙げている。転作が原因だとは書いていない。

小さな飲食店にどう関係するか

関係が濃いのは、日本茶をメニューに置いている店だ。抹茶ラテや抹茶のスイーツを出す店はもちろん、食後に急須のお茶を出す食堂も入る。

抹茶が高いのは、扱っている店ならもう知らせが来ているはずだ。この記事で言いたいのはその先で、抹茶を使っていない店の、普通のお茶の仕入れ値も上がりうる、ということになる。

お茶をサービスで出している店には、じわじわ効く。1杯の原価は小さいが、毎日の全席分となると別の数字になる。コーヒーだけの店、紅茶が中心の店には、当面は薄い。

気をつけること

「抹茶が高いからせん茶も高い」と、そのままつなげない方がいい。農水省はその因果を書いていない。輸出が伸びていること、てん茶が高値であること、一番茶が減っていることは、それぞれ別の事実として並んでいる。

来年どうなるかも、資料には書かれていない。

小さく試すなら、まず自分の店で1年に使うお茶の量と金額を出してみる。仕入れ伝票を12枚見るだけでいい。そのうえで、次の仕入れのときに「来年の見通しはどうですか」と聞いてみる。お茶屋さんは相場の話を持っている。

急いでメニューから外したり、値段を変えたりする前に、まず自分の店で何グラム使っているのかを知る。そこからでも遅くない。

予報の確度

段階を「拡大中」としたのは、値段の上昇が今年の取引でもう起きているからだ。予想ではなく、済んだ事実として資料に載っている。

弱いのは、そこから先だ。生産者が売る値段と、店が茶屋から買う値段は別物で、後者のデータは今回確認できなかった。

この見立てが外れるとしたら、輸出の伸びが止まり、てん茶が余って、相場が落ち着く場合だろう。今年1月から5月の輸出は、まだ増えるペースにある。

情報源・確認日を見る

記者 安東 菜津

編集長手記

正直に言うと、この記事はうちには薄い。うちで出しているのは中国茶ベースのブレンド茶で、日本茶じゃない。お茶屋さんから値上げの連絡も、今のところ来ていない。だから「日本茶が上がっている」と言われても、まだ他人事のところにいる。

ひとつ、うちの話をすると、お茶はサービスじゃなくて有料で出している。ただで付けるものじゃなくて、ちゃんと一品として値段をつけている。そこは自分の中で、わりとはっきりしている。

……と書いて気づくけど、これも「今は関係ない」と言っているだけかもしれない。値上げの波は、自分が外にいるうちは他人事で、入った瞬間に自分ごとになる。今うちが外にいるのは、中国茶を選んだからなのか、たまたまなのか。そこは正直、まだ見えていない。

編集長 西村まさゆき
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