メニュー2026.08.19予兆

新米は2〜4割安。でも店の米はまだ高いまま

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令和8年産の新米は、産地に払われる値段が前年より2〜4割安い水準で決まり始めた。店頭の新米も、前年比2〜3割安で並び始めている。

ところが、店が買う米はまだ下がっていない。今年6月、飲食店や弁当屋向けの精米の値段は、前年の同じ月の116.9%だった(事実:農林水産省)。

「米が安くなった」という話と、自分の店の仕入れ伝票は、今のところずれている。

何が起きているか

JAが農家に先に払うお金を「概算金」という。産地の値段の目安になる数字だ。これが令和8年産で大きく下がった。宮崎のコシヒカリ(早く採れる早期米)は、玄米60kgあたり1万8千円程度(日本農業新聞、7月14日)。各地のJAが示した金額は、前年より2〜4割ほど安いと報じられている。

店頭でも、新米が前年比2〜3割安で並び始めた(日本農業新聞、8月1日)。

米が余り気味になっていることが背景にある。6月末の民間在庫は194万トンで、前年の同じ時期より72万トン多い(事実:農水省)。今出回っている令和7年産についても、卸が産地から買うときの値段は下がってきた。6月は玄米60kgあたり31,305円で、前の月より1,859円(6%)安い(事実:農水省)。

それでも、店が買う精米は前年同月比116.9%のまま。同じ6月、スーパーなど小売向けは101.4%だった(事実:農水省)。外食向けだけが高いままだが、農水省の発表資料は、その理由まで説明していない。

小さな飲食店にどう関係するか

効くのは、米が主役の店だ。定食、丼、寿司、カレー、弁当。原価に占める米の割合が大きい店ほど、下がったときの効き目も大きい。逆に、米をあまり使わない店(麺、パン、酒が中心)には薄い。

ただし、下がるとしても今日ではない。産地の値段が動いてから、店の仕入れ値に届くまでには時間がかかっている、というのが今のデータの形だ。新米に切り替わる秋以降に届く可能性はあるが、いつ、どれだけかは分からない(推測)。

気をつけること

値下げを急がない方がいいかもしれない。米が下がっても、人件費と光熱費は下がっていない。一度下げた値段は戻しにくい。試すなら、ごはんの大盛り無料や、おかわり一杯など、いつでもやめられる形から。

安くなると見込んで大量に買い込むのも、保管と品質のリスクがある。相場が戻ることもある。

今日できて、お金のかからないことが一つある。米屋や卸に一本聞くことだ。「新米への切り替えはいつか」「今の見込みでいくらか」。数字が出れば、秋のメニューをどうするかの判断が具体的になる。

お客さんから「米、安くなったんでしょ」と言われる場面も増えるかもしれない。自分の伝票の実態を知っておくと、そのとき答えられる。

予報の確度

予兆。 産地の値段が下がったことは、複数の産地で確認できた。在庫が増えていることも、農水省の数字で確認した。

一方で、店の仕入れ値が下がったという事実は、まだない。6月時点では前年より約17%高い。ここが今回いちばん自信のないところで、「これから下がる」は推測にとどまる。

外れるとすれば、この夏の作柄や災害で見通しが変わる場合、政府が需給の対策に動く場合、卸が高く仕入れた在庫を抱えている場合。秋に仕入れ値の数字が出たら、確認し直したい。

情報源・確認日を見る

記者 安東 菜津

編集長手記

うちの米は、この1年で上がった。今はお米屋さんから買っている。

そのお米屋さんが、こぼしていた。本当はもっと上げないときつい、でもそんなには上げられない、と。うちに納める値段を、向こうも向こうで抑えているらしい。

探せば、もっと安いところはあると思う。でも変えるつもりはない。去年、米が品薄になったとき、あの人が苦労して確保してくれた。おかげでうちは、止まらずに営業できた。取引先の飲食店に優先的に届ける、というのがあの人の考え方で、それに実際に助けられている。だから今は、応援の意味もこめて買っている。

じゃあ、仕入れ値が下がったら安くするのか。しない。上がったときに上げなかったから、下がったときに下げるのも違う気がする。この1年、盛り付けもメニューも変えなかった。お客さんの側では、たぶん何も起きていない。

……と書くと、義理堅い店主みたいだけど、そうでもない。安いところを探していない、というだけかもしれない。それを義理と呼んでいいのか、ただ面倒なだけなのか、自分でもはっきりしない。

記事を読んで思ったのは、相場が下がっても、うちの何かが変わるわけではない、ということだった。変わるとしたら、お米屋さんの顔つきのほうだ。あの人が「今年は少し楽になった」と言う日が来たら、そのときは素直にうれしい。

編集長 西村まさゆき
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