人材2026.08.12予兆

10月に消える「106万円の壁」。小さな店の番は何年後か

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2026年10月から、パートが社会保険に入るかどうかを分ける「月8.8万円(年106万円)以上」という線がなくなる予定だ(事実:日本年金機構)。

ただし今回変わるのは、厚生年金の加入者が51人以上いる勤め先だけ。1〜5店舗の店の多くは、この10月は当てはまらない。

でも順番と日付は、もう決まっている。小さな店の番は、2027年から2035年にかけて、大きいほうから順に来る。

何が起きているか

今、パートやアルバイトが社会保険(厚生年金と健康保険)に入るのは、次のすべてに当てはまるときだ。週20時間以上働く。月の賃金が8.8万円以上。2か月を超えて働く見込みがある。学生でない。そのうえで、勤め先の厚生年金の加入者が51人以上(事実:日本年金機構)。

このうち「月8.8万円以上」が、2026年10月に外れる予定だ。最低賃金以上で週20時間働けば、どのみち8.8万円を超えるから、と年金機構は説明している。残る線は「週20時間」になる。

勤め先の大きさの線も、順に下りていく。2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上。2035年10月には10人以下の事業所まで届く(事実:日本年金機構)。

個人でやっている飲食店は事情が違う。法人の店はすべて加入対象だが、個人事業の飲食店は5人以上を使っていても対象外とされてきた。ここも2029年10月に全業種が対象になる。ただし、その時点ですでにある店は当分の間、対象外のままだ(事実:厚生労働省)。

小さな飲食店にどう関係するか

法人にしている店は、この10月では変わらない。ただし、別の線が前からある。正社員の4分の3以上の時間で働く人は、勤め先の大きさに関係なく加入対象だ(事実:日本年金機構)。週30時間くらい入ってもらっている人がいる店は、今の扱いを一度確かめておきたい。

先に効くのは、人の集まり方かもしれない。51人以上の勤め先で働く人は、10月から「週20時間」だけで判断される。掛け持ちで来てくれている人がいる店は、シフトの希望が変わる可能性がある。ただし、そう動くと示すデータはまだない(推測)。

気をつけること

「うちは51人もいないから関係ない」で止めると、番が来たときに慌てる。日付は決まっている。自分の店の人数がどの線に触れそうかだけ、先に見ておきたい。

新しく対象になった事業所には、働く人の保険料を軽くする「保険料調整制度」も用意されている。通算3年間で、事業主が納める保険料は最終的に増えないと年金機構は説明している。ただし、対象になった日から2年以内に事業主が申し出ないと使えない(事実:日本年金機構)。

費用ゼロで試せることが一つある。今のシフト表で、週20時間以上の人が何人いるかを数えてみる。それだけで、自分の番が来たときの姿がだいたい見える。

予報の確度

予兆。 日付と人数は、年金機構と厚労省のページで確認できた。ただし10月の撤廃には「予定」という言葉が残っている。法律では、全国の最低賃金が1,016円以上になるのを見極めて決めるとされていた(事実:厚生労働省)。今年の目安は全国平均1,176円で、その水準は超えている(事実:厚労省、7月28日答申)。

自信がないのは、人の集まり方への影響だ。求人やシフトの動きは、まだ数字で確かめていない。

外れるとすれば、施行日が後ろにずれる場合や、この先の判断でスケジュールが変わる場合。10月が近づいたら、確認し直したい。

情報源・確認日を見る

記者 安東 菜津

編集長手記

うちは今、スタッフに国保に入ってもらってる。それでこの記事を読んで最初に考えたのが、もう少し人を増やして、一人ひとりは20時間以内に収まるように、シフトの組み方を考え直さなきゃな、ということだった。

で、書いてて気づいたんだけど、これ、記事に出てくる「時間を減らす人」を、僕が作る側になるって話だよな。

負担はかなり増える。それは正直思う。でも働く人にとってはいいことだ、というのも同時に思っていて、そこが自分の中でまだ揃ってない。いいことだと思っているのに、自分の店では避ける組み方を考えている。

前にもスタッフから「これ以上は働けない」と言われたことがあって、あのときも結局、他の人の働く時間を増やすしかなかった。うちくらいの規模だと、誰かの時間を削ると、その分がそのまま別の誰かの肩に乗る。毛布が短いのに足も肩も入れたい、みたいな感じで、どっちかは必ず出る。

こう書くと、先を見て考えている店主みたいだけど、そんなことはなくて、自分の番が2032年なのか2035年なのかも、今日この記事で初めて知った。

答えは出ていない。ただ、シフト表を見る目つきは、たぶん今日から少し変わる。

編集長 西村まさゆき
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