原価・お金2026.08.03予兆

食料品は1%、でも外食は10%。“減税なのに納税が増える”店も

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食料品の消費税を、いまの8%から1%に下げる案が動いている。2026年7月30日に高市首相が表明した。始まるとしても2027年4月から、2年間だけの予定だ(事実:報道・首相会見)。

「食品が安くなる」と聞くと、店にも追い風に思える。でも小さな飲食店には、逆向きの話が二つある。

一つは、店で食べる外食は10%のままなこと。もう一つは、仕入れの税が下がると、店によっては「納める消費税」がむしろ増えることだ。

何が起きているか

いまの食品の税は二本立てだ。持ち帰りやスーパーの食品は「軽減税率」で8%、店で食べる外食は10%。今回はこの8%のほうを1%に下げる案で、対象は飲食料品(外食と酒は除く)。2027年4月から2年間、終われば8%に戻る予定。0%でなく1%なのは、レジの改修が間に合わないから、と説明されている(事実:報道)。

ただし段階は「予兆」だ。首相は表明したが、閣議決定も法案もこれから。0%案や現金給付案も残っている(事実:報道/このあと変わりうる)。

小さな飲食店にどう関係するか

① お客さんから見た「差」が広がる。店で食べれば10%、持ち帰れば1%。同じ料理なのに、税の差が2%から9%に広がる。持ち帰りをやる店ほど、値段の見せ方や一言の説明が要る場面が増えそうだ。

② 本則課税の店は、納める消費税が増える。消費税は、お客からいただいた分から、仕入れで払った分を差し引いて納める。食材の仕入れが8%→1%になると、差し引ける分(仕入税額控除)が減る。売上で預かるのは10%のままだから、納める額は増える(事実:税理士解説)。

損をするわけではない。今まで仕入れ業者に払っていた消費税を、税務署に回すだけ、とも言える。問題は資金繰りだ。仕入れで浮いたお金をうっかり使うと、納税のときに足りなくなる。消費税は赤字でも払う。売上が月300万円あれば、年の消費税が100万円を超えることもある(事実:税理士解説)。

③ 簡易課税の店は、影響を受けにくい。納める額を売上の割合で決める「簡易課税」の店は、仕入れの税が下がっても納税額は変わらない。むしろ仕入れの支払いが減る分、少し楽になる。だからこの機に、自分の店は本則と簡易のどちらが得か、見直す価値がある(ただし切替は届け出の時期と、2年間は続ける縛りに注意。事実:制度)。

気をつけること

まず、慌てないこと。始まるとしても2027年4月、しかもまだ決まっていない。いま設備やメニューを大きく変える段階ではない。

そのうえで、本則課税の店は「納税額が増える前提」で、浮いた仕入れ分を使い込まず、納税用に分けて置くとよさそうだ(税務署に毎月前払いする「予納」の仕組みもある)。簡易課税への切り替えを考えるなら、届け出の期限を先に調べておきたい。持ち帰りをやる店は、店内と持ち帰りの価格の見せ方を、少しずつ考え始めるとよさそうだ。

予報の確度

予兆。 制度の枠組みは報道と首相会見で確認できるが、閣議決定・法案・成立はこれから。0%案や給付案も残る。仕組み(本則は納税が増える/簡易は変わらない)は税の理屈として確かだが、「自分の店にいくら効くか」は課税方式・持ち帰り比率・仕入れの中身しだいで、断定できない。制度が固まった時点で見直す。

情報源・確認日を見る

記者 安東 菜津

編集長手記

正直に言うと、この②を読んで、一瞬、騙されてるのか?と思った。減税なのに、納める税金が増える。そんなことある?と。税金の仕組みは、いつも手品みたいだ。タネがあるはずなのに、僕には見えない。実際のところどうなのか、専門家に一度ちゃんと聞いてみたい。

うちは今年から簡易課税で、法人だ。だから、この「納税額が増える」の直撃は、たぶん受けない側にいる。仕入れで払う分が減るなら、少しは楽になるのかもしれない。──と書いてはみたけれど、本当にそうなのかは、まだ自信がない。

それより気になっているのは、客足のほうだ。食品が安くなって、みんなの財布が持ち帰りに向いたとき、店で食べてもらう10%のうちは、どう見えるんだろう。

ひとつ、腹の底で動いているものはある。うちには、自社で作っている食品がある。弁当や惣菜だ。あれは店の外に出ていく「食料品」だから、この流れとは相性がいいのかもしれない。もし何も知らなかった昔の僕がこの話を先に聞けていたら、たぶんこう動く。飲食店は続けながら、今ある設備でできる範囲で、弁当や惣菜や食品づくりに、もう少し力を入れる。設備投資のいらないところから。

とはいえ、これも今はまだ、そう思っているだけだ。準備を始めるべきなのか、もう少し様子を見るのか。答えは、まだ見えていない。

編集長 西村まさゆき
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