開業2026.07.24予兆

倒産は過去最多。その裏で「一点で勝つ小さな店」が目立ち始めた

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飲食店の倒産が増えている。2025年は過去最多の900件で、その多くは小さな店だった(事実:帝国データバンク)。

その一方で、メニューを一つに絞った小さな店が、狭い坪数で高い売上を出して注目され始めている。「なんでもある店」より「一点で勝つ店」だ。

淘汰が進むいまだからこそ、小さく絞って強い形が見直されているとみられる。ただし「絞れば勝てる」と単純には言えない。

何が起きているか

まず、厳しい数字から。2025年の飲食店倒産は900件で過去最多。前年(894件)を上回り、3年連続で増えた。負債5,000万円未満の小規模な倒産が696件(77.3%)を占める(事実:帝国データバンク、2026-01-13発表)。食材・光熱費の高騰、賃上げ、競合の激化で、値上げに踏み切れない小さな店ほど苦しい、という構図だ。

その裏で、別の動きが目立ち始めている。一つのメニューや業態に絞った小型店が、狭い坪数で高い売上を出している例が相次いで紹介されている。たとえば立ち飲みの専門店で坪月商70万〜150万円、3.5坪で月商435万円といった数字が挙がる(個別事例:飲食店ドットコム、いずれも都市部の話)。仕入れとオペレーションを絞り込むほど、少人数・狭い店でも回しやすい、という理屈だ。

メニュー側でも「絞り込み」は進む。ご当地麺や進化系のフライなど、一品を突き詰めた専門店化がトレンドに挙がる(準一次:ぐるなび)。この夏は、暑さに慣れる「汗活」の流れで麻辣湯などの激辛も旬とされる。

小さな飲食店にどう関係するか

関係しやすいのは、品数が多くて「うちの一番」が言いにくい店や、これから小さく開きたい人だ。逆に、すでに看板メニューがはっきりしている店や、立地で客層が固まっている店には、急ぎの話ではない。

気をつけること

「絞れば勝てる」と受け取るのは危うい。絞るほど客層も狭まる。実際、倒産が過去最多だった業態には中華・東洋料理(179件で過去最多)も含まれる(事実:帝国データバンク)。一点特化はうまくいった店が目立つだけ、という見方(生存者バイアス)も要る。紹介される高い数字の多くは都市部の個別事例で、地方や住宅街にそのまま当てはまるとは限らない。

試すなら小さく。いきなり業態を変えるより、曜日限定・時間帯限定で「一点特化メニュー」を出して反応を見る、くらいから始めると元に戻しやすい。

予報の確度

予兆。 倒産が過去最多という事実は一次資料で確認できる。一方、「一点特化の小型店が伸びている」は、いまのところトレンド分析や個別事例(準一次)が中心で、市場全体の裏づけは弱い。数字は各社の紹介事例であり、業界平均ではない。方向としては起きているが、「小さな店に効くか」は各店の立地・客層しだいで、断定できない。

情報源・確認日を見る

記者 安東 菜津

編集長手記

うちは、規格外の食材を扱う定食屋だ。だから、お客さんに一品ずつ選んでもらうより「お任せ」が前提になる。今の形になる前は、毎日何種類もの定食を並べていた。

それを、もったいない食材をふだんより多く使える一皿「もったいない定食」に絞ってみた。メインの魚だけ選べて、あとはお任せ。そうしたら、今はほとんどこれが出る。作る手間も、利益率も、はっきり良くなった。

正直、この一皿を出すのは怖かった。しかも、他の定食より1,000円高い。「売れなきゃやめればいい」と、恐る恐る始めた。そうしたら少しずつ定着して、今ではこれを目当てに来てくださる方までいる。絞るのが怖かったというより、やってみるまで分からなかった、というのが本当のところだ。

この記事を読んで、僕がやってきたのは「一点で勝つ」ことだったのか、と後から気づいた。でも僕の中では、勝ち方の話というより「もったいないを、どこまでやれるか」の話なんだと思う。

だから今、迷っている。漁の現場では、エイやサメが使われずに困っていると聞く。この定食の選べる魚に、それを入れて、とことん"もったいない"に特化していくか。まだ、決めきれていない。

編集長 西村まさゆき
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