インボイスを始めたときに使えた「消費税は売上の2割だけ納めればいい」という特例(2割特例)が、もうすぐ区切りを迎える。個人の店では2026年分(令和8年分)が最後だ。
そのあとは2027・2028年分だけ使える「3割特例」に移り、いずれ本則課税か簡易課税に落ち着く。納める割合が少しずつ増えていく。大あわてする話ではないが、来年からの納税が変わることは早めに知っておきたい。
2割特例は、免税だった店がインボイス登録で課税事業者になったとき、消費税の納税額を「売上にかかる消費税の2割」にできる仕組みだ(残り8割は計算せず差し引ける)。届け出はいらず、申告書に書くだけで使える(事実:国税庁)。
使えるのは「令和5年10月から令和8年9月末までを含む申告」まで。もともと3年で区切られた特例で、暦年で申告する個人の店では、2026年分(2027年3月の申告)が最後になる(事実:国税庁)。あわせて2026年3月成立の税制改正で、負担が急に増えないよう後継の「3割特例」が新設された(事実:令和8年度税制改正)。
なお、この話は大手チェーンにはほぼ関係しない。3割特例は個人事業者だけが対象で、法人はとうに本則課税で申告しているからだ。業界ニュースにも乗りにくく、小さな個人の店が自分で気づくしかない話とみられる。
関係するのは、インボイス登録をきっかけに課税事業者になり、これまで2割特例で申告してきた個人の店。多くが当てはまるとみられる。もともと課税事業者だった店、売上が少なく今も免税のままの店、法人の店は当てはまらない。
「3割特例があるから、まだ先で大丈夫」と丸ごと後回しにするのは避けたい。3割特例が使えるのは2027・2028年分の2年だけ。そのあとは本則課税(仕入れを一つずつ計算)か簡易課税(決まった割合で計算)を選ぶ。簡易課税だと、店内で食べる飲食店は納税額が「売上にかかる消費税の4割」になる(第4種、みなし仕入率60%。事実:国税庁)。2割→3割→4割と、目安として段階的に上がる。自分の店はどの計算が有利か、早めに税理士や税務署に相談しておきたい。
高い(制度・期限の部分)。 2割特例の期限、3割特例の新設と対象、簡易課税の割合は、国税庁や成立した法律で確認できる。ただし実際の税額は売上・仕入れ・事業区分で変わり、仕入れが多い店は本則課税のほうが安いこともある。「2→3→4割」はあくまで特例と簡易課税を選んだ場合の目安で、どの店にいくら効くかは各店の数字しだい。ここは断定できない。
記者 安東 菜津
正直に言うと、僕自身はこの変化で困らない。もったいない食堂は今年から簡易課税で、2割特例のような特例は使っていない。法人だし、会計士が前もって「次はこうなる」と教えてくれる。だから慌てることはない。
ただ、「重さ」は知っている。うちの納税額を計算してみると、正直、目を塞ぎたくなる。特例があるかないかで負担がどれだけ変わるかは、数字を見て初めて体にこたえた。
それで思い出したのが、個人でやっていて会計の顧問もつけていなかった頃の自分だ。この手の話に、本当に疎かった。誰も教えてくれないし、自分から探しにも行かなかった。
もし、あの頃の僕にこのPASSがあったら、と思う。「来年から変わる」と前もって知れていたら、あんなに慌てずにすんだ。お金の備えも、値付けを考え直す時間も、相談できる相手を探すことも、先に手を打てたはずだ。
このメディアは、そういう「昔の僕」に向けたものなんだと、あらためて思う。大手に関係ない話ほどニュースにならない。だからこそPASSがいる。その存在意義を、この記事でもう一度確かめた気がする。