補助金2026.07.21拡大中

【後編】カタログから選んで半額 ― でも小さな店の上限は下がった(省力化投資補助金・カタログ注文型)

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食洗機や自動フライヤーなど「人手を省く設備」を入れるとき、その費用の半分(1/2以下)を国が補助する入口のひとつが、カタログ注文型だ。「中小企業省力化投資補助金」の中にある仕組みで、いま動いている。

やり方はシンプルだ。事務局に登録された省力化製品のカタログから選び、その設備を売る販売事業者と一緒に申請する。締切を待たない随時受付で、いつでも出せる。

ただし、見落としてはいけない点がある。2026年3月19日の制度改定で、小さな店ほど上限額はむしろ下がった(後述)。PASSの読者に多い5名以下・6〜20名の店では、もらえる上限が縮んだのだ。

補助金は後払いでもある。いったんは全額を自分で立て替える。採択も確約ではない。

「半額」という言葉だけで飛びつくと、資金繰りでつまずく危うさがある。この記事は、そこを分けて考えるためのものだ。

業態トレンド予報

拡大中。 「兆し」の段階は、もう越えている。根拠は補助額の大小ではない。制度が回り続けていることだ。

カタログ注文型は締切を待たない随時受付になっている(事実:公式事務局サイト、2026-07-15確認)。飲食業は、制度が名指しで想定している業種でもある。

ただし、「拡大」は一様ではない。2026年3月19日の改定で、カタログ注文型の小規模側(5名以下・6〜20名)の上限額はむしろ引き下げられた(後述)。小さな店にとっては逆風の面もある、というのが正直なところだ。

何が起きているか

カタログ注文型は、事務局に登録された省力化製品のカタログから設備を選び、販売事業者と共同で申請する形だ。締切を待たない随時受付中で、補助率は1/2以下(事実:公式事務局サイト、2026-07-15確認)。

補助上限額は、2026年3月19日の改定で体系が見直された。従業員数に応じて次のようになっている。改定前→改定後を並べると、小規模側はむしろ下がっているのがわかる(事実:公式事務局サイト、2026-07-15確認)。

  • 従業員5名以下:改定前500万円 → 改定後200万円(賃上げ時 750万円→300万円)
  • 6〜20名:改定前750万円 → 改定後500万円
  • 21名以上:改定前1,000万円 → 改定後1,000万円(据え置き)

PASSの読者に多い5名以下・6〜20名の店では、カタログ注文型の上限は改定でむしろ縮小した。ここは見落とされがちなので、はっきり書いておく。

製品カタログには、飲食の現場に関係する区分として「業務用自動食器類洗浄機」「自動フライヤー」「両面焼きグリドル」「コンベアオーブン」などが登録されている(事実:公式「製品カタログ」ページ、2026-07-15確認)。

なお、券売機や配膳ロボットがこのカタログに載っているかは、本稿では確認できていない未確認とする。

小さな飲食店にどう関係するか

関係する店

  • 調理や片付けのどこかを、人手ではなく設備で置き換えたい店。 食洗機・自動フライヤーなど、カタログから選ぶ形なので、一から計画を組む型より負担が比較的軽い。
  • すでに「この設備を入れたい」と決めていて、購入時期を調整できる店。 交付決定を待ってから発注できるなら、補助の土俵に乗せやすい。
  • 賃上げをこれから進める予定がある店。 制度が賃上げを目的に置いているため、賃上げと設備投資をセットで考える店とは相性がよい。

関係しない店

  • 今すぐ設備が必要で、採択や交付決定を待てない店。 壊れた設備をすぐ入れ替えたい、という緊急の場面には向かない。
  • 立て替えの自己資金や、つなぎの融資枠を用意しづらい店。 後払いという性質上、当座の資金が薄い店ほどリスクが重くなる。
  • 上限が下がって、割に合わないと感じる店。 5名以下では上限200万円だ。入れたい設備の価格しだいでは、手間に見合わないこともある。

真似しない方がいい部分

補助金は「半額もらえる制度」ではなく、「条件を満たせば、後から半額が戻ってくるかもしれない制度」だ。ここを甘く見ると危ない。

  • 後払い(精算払い)である。 設備代はいったん全額を自分で支払う。補助金が入るのは、事業を終えて実績報告をし、補助額が確定した後だ(事実:公式サイト、2026-07-15確認)。
  • 採択・交付は確約ではない。 申請すれば通るものではない。「補助金が出る前提」で発注や資金計画を組むのは危うい。
  • 交付決定より前に発注・契約・支払いをしたものは、原則として補助対象外とされる。「先に買って、あとで申請」は通らないのが通例だ。

そして、カタログ注文型ならではの落とし穴がひとつある。

  • 販売事業者に勧められるまま買わない。 この型は、設備を売る側と一緒に申請する仕組みだ。売る側にとって補助金は販売の追い風になる。「補助金が出るから今が買い時」という営業に流されて、必要のない設備まで買わされないようにしたい。

小さく・安く・元に戻せる範囲で試すなら、まずは「補助金ありき」で設備を決めないことだ。補助が仮にゼロでも入れる価値がある設備か。それを先に、自分の帳簿で判断する。

そのうえで対象になりそうなら、公式サイトで自店の従業員規模の上限額と対象製品を確認する。必要なら販売事業者に「交付決定前は発注しない前提で」相談する。この順番なら、傷は浅く済む。

反対意見・失敗の可能性

  • 「拡大中」は、制度が回り続けている話であって、小さな店の取り分が増えた話ではない。 実際、2026年3月19日の改定でカタログ注文型の5名以下・6〜20名の上限は引き下げられており(事実:公式サイト、2026-07-15確認)、小規模の店にとっては逆風の面がある。
  • 要件・金額・期限が変わりやすい。 本記事の数字は2026年7月15日時点のもので、次の改定で変わる可能性がある。読む時点では古くなっているかもしれない。
  • 人を省いた結果、店の味や接客が痩せる可能性。省人化が常に正解とは限らない。

予報の確度

中〜高。 「カタログ注文型が随時受付で動いている」ことは、公式事務局サイトで確認できており、確度は高い。飲食業が制度の想定業種であることも、政府資料で裏づけられる。

ただし、一点だけ補足しておく。「拡大中」は制度の稼働の話であって、補助額が小さな店に有利に広がっているという意味ではない。2026年3月19日の改定で、カタログ注文型の小規模側の上限は引き下げられた。「小さな店が実際に使って得をするか」は、後払いと要件の重さもあり、店ごとに大きく分かれる(推測)。

券売機・配膳ロボットがカタログに載っているかは未確認だ。各制度の細かな要件・対象外経費・交付決定前発注の扱いは、必ず最新の公募要領で確認してほしい。

情報源・確認日を見る

記者 安東 菜津

編集長手記

正直に言うと、僕はまだカタログを見ていない。だから、この「カタログ注文型」の中に、うちで欲しいものがあるかどうかは、まだ分からない。

それでも、欲しい設備ははっきりしている。やっぱり急速冷凍機だ。前の記事でも書いたとおり、仕入れをまとめられて、仕込みの手間が減る。この気持ちは変わらない。

まずは自分でカタログをのぞいてみる。うちに合う一台があるのか、ないのか。確かめるのは、それからだ。

編集長 西村まさゆき
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