小型店が増える本当の理由は、家賃より人が採れず、人件費も上がり続けているからという面が大きいのです。だから「小さくする」判断は、席数ではなく「何人で・何時間で・どこまで回すか」から設計するとよいでしょう。
飲食は人手不足が続く業種です。帝国データバンクの調査では、2025年10月の「飲食」の人手不足割合は70.2%で全業種最悪。2026年1月には非正社員の不足が58.6%(全業種2位)まで下がり、3年連続の改善ですが、まだ高水準です(事実:帝国データバンク)。有効求人倍率(一人の求職者への求人数)は飲食店店長10.0倍、調理5.0倍、接客2.9倍。働く人の78%はパートで約400万人。労働生産性(一人あたりの成果)は長期で下がっています(事実:農林水産省・厚生労働省)。
同時に人件費も上がっています。2025年度の最低賃金は全国の加重平均で1,055円から1,118円へ。過去最大級の引き上げで、全都道府県が1,000円を超えました(事実:中央最低賃金審議会)。「人が足りない」と「一人が高い」が重なり、店は少人数で回る形に近づきます(推測)。大手は省人化(人手を減らす仕組み)で対応し、政府資料には配膳ロボットで回転率を上げる、セルフオーダーで店舗管理を3〜4人から2人に減らす事例があります。国も省力化投資を後押しし、飲食業の労働生産性を2029年度までに35%上げる目標を掲げています(事実:農林水産省・厚生労働省)。
効きやすいのは、採用に苦労している店、店主やごく少人数に負担が集中している店、ピークだけ人が足りない店です。反対に、家族や決まったメンバーで安定して回っている店や、席数の少なさが客単価の低さに直結する立地の店では効きにくく、むやみに縮小すると売上の上限だけを下げてしまいます。
大手の省人化はまとまった初期投資と店舗設計が前提で、小さな店が同じ機器を入れても回収できないことが多いのです(推測)。まず「工程を減らす・並べ替える」ほうが効きます。ワンオペは店主一人頼みで、体調を崩すとすぐ休業のリスクになります。人手不足は直近では改善に向かっており(帝国データバンク)、「人が主な理由」と強調しすぎるのも禁物です。
中〜高。 人手不足・有効求人倍率・最低賃金という三つの別々の一次情報が同じ方向を指すので、方向性は確かで、これは人口の変化に根ざした拡大中の動きです。ただし「家賃より人が主な理由」は立地によって変わり、地域差の検証は残っています。
記者 安東 菜津
この記事は、小型化の本当の理由は家賃より人かもしれない、と書いている。うちのもったいない食堂でも、一番の制約はやっぱり人だ。だから他人事としては読めなかった。
僕には一つ物差しがある。「一人分の作業を減らせるなら、その人のひと月分の給与くらいまでは初期費用を出す」。回収の目安は1か月。この基準があると、流行りの機械を勧められても「それで消える手間は月いくらの人件費か」で落ち着いて考えられる。
もう一つ、僕自身は現場のオペレーションに入っていない。だから「店主が身を削ってワンオペにする」という方向はそもそも取れないし、取りたくもない。省人化を「誰かが我慢する」話にしないことが、続く店の条件だと思っている。
この記事を読んで、自分が普段バラバラにやっている判断が、「人が制約を決めている」という一本の背骨でつながっていたんだと気づけた。僕もまだ、一本ごとに学んでいる。